秩父は山国である。荒川に沿った小高い丘に建物は建っている。周囲はナラやクヌギの雑木林に固まれ、秩父の山々を見渡すことが出来る、土地の主のような樹高20mに及ぶクヌギをシンボルとして残した。入口広場の中央に堂々と存在するクヌギの下のベンチに天気の良い日は老人たちが日向ぼっこに集まってくる。美しい環境を生かすことが設計のテーマであった。
4人室と4人室の聞に「坪庭」と呼ぶ路地を設け施設の通風、採光を確保し、居住棟と管理棟の聞にはパラ園、芝生のゲートボール場を設けた。室内の各部から落葉樹の梢や速くの山々、小鳥の姿を眺めることが出来、同時に森の光、山の香りを含んだ風、鳥のさえずりが室内に満ちてくる。暖炉の薪の燃える音を聞きながら人生の終章にふさわしいゆったりとした時をおくる施設でありたいと考えた。
所在地: 埼玉県秩父市大字蒔田
構造: 鉄筋コンクリート造 地上3階/ 地下1階/ 塔屋1階
規模: 敷地面積: 9,842㎡ 建築面積: 3,042㎡ 延床面積: 9,038㎡
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